エレキギターの仕上げとして、ラッカー塗装は長年にわたって高い人気を誇っています。その伝統的な美しさや、ギター本来の音を引き立てる特性が、多くのミュージシャンを魅了しています。しかし、他の塗装との違いや適切なメンテナンス方法を理解していないと、その魅力を十分に引き出せないことも。
この記事では、ラッカー塗装の特性や利点、デメリット、そして扱い方のコツを詳しくご紹介します。初心者から上級者まで必見の内容です。
ラッカー塗装とは?
ラッカー塗装は、ギターの木材を保護し、その美しさを引き立てるために施されるコーティングです。この塗装は溶剤ベースの素材を使用し、蒸発によって乾燥し硬化します。主に以下の2種類があります。
- ニトロセルロースラッカー: 薄塗りが特徴で、ヴィンテージ感のある仕上がりを持つ選択肢です。綿などの繊維を原料とするラッカーと可塑剤や顔料等を混ぜた塗料を溶媒で薄め、スプレーガンで吹き付けることで塗装を行います。
- ポリウレタン(ポリ)ラッカー: より現代的で耐久性が高く、傷に強いですが、ニトロセルロースに比べて共鳴性が低いとされます。
ラッカー塗装の利点
- 音響特性: ラッカー塗装、特にニトロセルロースは木材に通気性を持たせ、楽器の音響特性を向上させます。
- 美観: 木目を際立たせる艶やかな仕上がりが得られます。
- 経年変化: 時間とともに微細なひび割れや色の変化が起き、独特のヴィンテージ感が生まれます(これを「ウェザーチェック」と呼びます)。
ヴィンテージ感を高めギターとしての市場価値を高める微細なひび割れであるウェザーチェックに対して、ギターを管理する環境が適切でなかったために生じる割れをクラックと言います。
ただ、筆者の印象としてはこの用語はしばしば混同して用いられている印象です。
もし「いいクラックだね!」という人がいたとしたらその場合はいわゆるウェザーチェックのことを指しているはずです(もしくはめちゃくちゃ性格が悪いか)
欠点
- 脆さ: ラッカー塗装は傷や剥がれが発生しやすく、ゴムやフォーム素材のギタースタンドやストラップとの相性に注意が必要です。
スタンドに取り付けのできるカバーなども販売されているので、それを使えばスタンドは持っているものをそのまま転用できます。
包帯で代用するという手もあると聞いたことがありますが、地味に高いですしカバーを買ったほうが安心感の面でもいい気がします。
- メンテナンス性: 特定のポリッシュを使用して定期的な清掃を行う必要があります。
下の商品のようなラッカー対応のものを使いましょう!
- 環境の影響: 温度や湿度の変化によってひび割れや収縮が発生することがあります。
筆者所有のギターも一部塗装が剥がれてしまってます…(泣)
それを改めて塗装に出すというのもなにか違う気がして結局そのまま味ということで使っています
他の塗装との比較
ラッカー塗装はヴィンテージ感と音響特性で際立っていますが、ポリウレタンやポリエステルなどの代替塗装は、耐久性とメンテナンス性の点で優れています。ポリ塗装は厚みがあり、木材の保護に優れる一方、共鳴性が損なわれることがあります。
ラッカー塗装のギターのお手入れ方法
ラッカー塗装のギターを美しく保つためには、以下の点に注意しましょう。
- 柔らかい糸くずの出ない布を使って清掃する。
- 強力な化学薬品は避け、専用のポリッシュを使用する。
- 温度や湿度の変化が少ない安定した環境で保管する。
- 化学反応を防ぐため、適切なギタースタンドやストラップを選ぶ。
まとめ
ラッカー塗装は、美しさ、伝統、そして音響的な豊かさをエレキギターにもたらします。その維持には手間がかかりますが、時間とともに独自の魅力を増す楽器として、長年愛用する価値があります。ニトロセルロースやポリウレタンのどちらを選ぶにせよ、ラッカー塗装の特性を理解することで、ギターをより大切な存在として楽しむことができるでしょう。
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