ギターやベースの演奏において、音に奥行きや温かみを加えるディレイエフェクター。中でも「アナログディレイ」は、その独特の響きと温かみのあるサウンドで、多くのミュージシャンに愛されています。しかし、アナログディレイはデジタルディレイと何が違うのでしょうか?
その仕組みや特徴、メリットを詳しく解説するとともに、音作りに役立つおすすめのアナログディレイ・エフェクターも紹介します。これからディレイエフェクターを導入したい方や、アナログならではのサウンドを追求したい方に向けた内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。
アナログディレイとは?その仕組みを解説
アナログディレイは、デジタル変換を行わずに音を遅延させることで、エコーのような効果を生み出すエフェクターです。ディレイ音が繰り返すごとに少しずつ劣化し、高音域が削られることで、温かみのある独特のサウンドが得られます。これは、アナログディレイが「BBD(Bucket Brigade Device)」という電子部品を利用しているためです。
BBD(Bucket Brigade Device)の仕組み
BBDとは、信号を小さなコンデンサの列に順番に受け渡していくことで、音を遅延させる素子です。この仕組みは、水のバケツリレーに例えられることが多く、信号が少しずつ伝えられていくうちに、わずかに劣化しながら遅延が生じます。この劣化がアナログディレイ特有の柔らかく、馴染みやすい音の要因となっています。
デジタルディレイでは、遅延音が忠実に再現されるため、クリアで正確な反復音が得られますが、アナログディレイでは、音の輪郭が徐々に変化していくため、よりナチュラルな響きが得られます。これが、アナログディレイならではの魅力といえるでしょう。
デジタルディレイについて書いた記事もあるので良ければご覧ください!
アナログディレイのメリット
1. 温かみのあるナチュラルなサウンド
アナログディレイは、繰り返し音が徐々に減衰し、劣化していく特性を持っています。このため、エフェクト音が演奏に自然に馴染み、楽器本来の音を活かしたまま、奥行きや雰囲気を加えることができます。特に、クラシックロックやブルース、シューゲイザーなどの音楽ジャンルで愛用されています。
2. 独特のサウンド変化が生まれる「発振」効果
アナログディレイには、「発振(フィードバックの暴走)」という特徴的なサウンド効果があります。フィードバックを最大にすると、音が無限に反復され、うねるような独特のノイズを生み出すことができます。この発振をコントロールすることで、クリエイティブな音作りが可能になります。
例としては下の動画のラストの部分などがわかりやすいでしょうか。
筆者の旧友が教えてくれたworld’s end girlfriend – Les Enfants du Paradisのラストです。
3. 他のエフェクトとの組み合わせがしやすい
アナログディレイは、ディストーションやコーラスなどのエフェクトと組み合わせることで、独特の空間的な広がりを作ることができます。特に、軽いリバーブと併用すると、幻想的で深みのあるサウンドを生み出すことが可能です。
おすすめのアナログディレイ・エフェクター
アナログディレイを選ぶ際には、ディレイタイム、モジュレーション機能、フィードバックの調整幅などが重要なポイントとなります。ここでは、特に人気の高いモデルを紹介します。
1. MXR Carbon Copy Analog Delay
- 最大600msのディレイタイム
- アナログならではの温かみのある音色
- モジュレーション機能搭載でコーラスのような揺れを加えられる
「Carbon Copy」は、シンプルながらも柔らかく心地よいディレイ音を生み出す名機です。クリーンな音に少しディレイを加えたいときや、幻想的な雰囲気を演出したいときに最適です。
2. BOSS DM-2W Delay Waza Craft
- 伝説のBOSS DM-2の復刻モデル
- スタンダードモードとカスタムモードの切り替えが可能
- コンパクトながらも太く温かいディレイ音
「DM-2W」は、オリジナルのDM-2のアナログディレイサウンドを忠実に再現しつつ、カスタムモードでより長いディレイタイムを実現しています。ロックやポップスなど幅広いジャンルで使いやすい1台です。
余談ですが、技クラフトは日本で製造されているのでふるさと納税で買うことができるという非常にいいライフハックがあります。筆者は度々利用しています。
今度ふるさと納税で買えるエフェクターをまとめたいと思います。
3. Electro-Harmonix Deluxe Memory Man
- 豊かなアナログディレイとモジュレーション機能を搭載
- コーラス、ビブラート機能付きで幅広いサウンドメイクが可能
- 多くのプロミュージシャンが使用
「Deluxe Memory Man」は、独特の温かみと奥行きを持つサウンドが特徴で、シューゲイザーやアンビエント系の音楽にも適しています。モジュレーションを活かした幻想的なサウンド作りが可能です。
デカい。高い。そして24V駆動とかなり使用者を悩ませる要素が多い。
…のですが、多くの人をしてアナログディレイの王者と言わしめる実力を持っています。
まとめ
アナログディレイは、BBDを活用した独自の遅延システムにより、温かみのあるナチュラルなディレイサウンドを生み出します。その特徴的な音色や発振効果により、多くのギタリストに愛されています。
デジタルディレイがクリアな反復音を生み出すのに対し、アナログディレイは繰り返し音が少しずつ変化し、楽曲に自然な奥行きを加えます。この独自の特性を活かすことで、より表現豊かな演奏が可能になります。
今回紹介したおすすめのエフェクターを参考に、自分のプレイスタイルに合ったアナログディレイを選び、サウンドメイクを楽しんでみてください。
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