1976年に世界初の“コーラス・ペダル”として誕生したBOSS CE‑1 Chorus Ensemble。そのウォームかつ深みのある揺らぎは、発売から半世紀近くを経た今なおギタリストの定番エフェクトとして君臨しています。Jazz Chorusアンプのコーラス/ビブラート部を単体化し、高品位なBBDチップMN3002やプリアンプ回路を搭載。High/Lowインプット切替やLevelノブによるプリアンプ効果、さらにコーラス⇔ビブラート切替と2系統ステレオ出力も備え、ライブやスタジオでの多彩な運用を可能にします。
本記事では、各種レビューや公式情報をもとに、その誕生背景からサウンドの核心、使いこなしのコツまで徹底解説します。
歴史と誕生背景
BOSS CE‑1は、ローランドの名コンボアンプ「Jazz Chorus(JC)シリーズ」に内蔵されていたコーラス/ビブラート・ユニットを1976年にペダル化したもの。世界初のコーラス・ペダルとしてリリースされ、当時最先端の空間系エフェクトとして注目を集めました。Eric ClaptonやAndy Summersら多彩なギタリストに愛用され、その音色は後続モデルやクローンを生むほどの影響力を持ちました。
その登場から50年近くになるビンテージ感のあるマシンといえますね。
サウンドの特徴と内部構造
CE‑1の心臓部には、松下製のBBD(Bucket Brigade Device)チップMN3002を採用。アナログならではの自然な揺らぎと、ビンテージ特有のほんのり温かいトーンが得られます。
- プリアンプ回路内蔵:LevelノブによりエフェクトOFF時でも音量調整が可能。High(ハイ寄りのクリアトーン)/Low(ローミッド強調)の入力切替で音質のキャラクターを切り替えられます。
- コーラス⇔ビブラート切替:左フットスイッチでON/OFF、右フットスイッチでコーラス⇔ビブラートを瞬時に切替。Intensity(揺らぎの深さ)、Rate/Depth(速度・深さ)で緻密な調整が行えます。
- ステレオ出力対応:Output A/Bに原音とコーラス音を分離出力。ステレオ・セッティングや複数アンプへの分岐でリッチな空間表現を実現します。工業的なスペックとして、消費電力約3W、ボディサイズは縦180×横260×高さ64 mmとやや大型ながら、剛性の高い金属筐体が耐久性を担保しています。
かなり存在感のあるボディです。
実践的な活用法とステレオ運用
- クリーン・アンプ直挿し:CE‑1はクリーントーンと相性抜群。JCアンプ直結のような定番サウンドを再現できます。
- ステレオ・フィールド拡張:出力A/Bを左右アンプや別系統のエフェクターに送ることで、広がりのある立体的サウンドを演出。リバーブ/ディレイと組み合わせれば、シネマティックな響きに。
- 歪みとの連携:前段にCE‑1のプリアンプを活かすバッファードペダルを挟むと、後段の歪みペダルがより艶やかに反応。ブースト的な使い方も可能です。
- レコーディングでの二刀流:原音とコーラス音を別トラックで録ることで、ミックス時の定位やエフェクト量を自在にコントロールできます。
2系統の出力がかなりルーティングの多様性をもたらしてくれますね。
まとめ
BOSS CE‑1 Chorus Ensembleは、ただのコーラス・ペダルを超えた多機能ユニット。アナログBBDならではの温かさ、プリアンプによる音作りの幅、そしてステレオ出力を活かした空間表現――これら全てが、デジタル全盛の現代でも色あせない魅力を放っています。オリジナルの入手は難しいものの、多くの復刻版やコピーモデルが市場に流通。ビンテージの息吹を感じたいギタリストなら、一度は手に取ってみる価値がある名機です。
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