ストラトキャスターは、多彩な音色を生み出せるギターとして、多くのギタリストに愛されています。その音の幅広さを支えているのが、ピックアップセレクターの存在です。ストラトキャスターには通常3つのシングルコイルピックアップが搭載されており、セレクターを切り替えることで、それぞれのピックアップを単独または組み合わせて使用することができます。この仕組みによって、クリーンなカッティングサウンドから、温かみのあるソロトーン、シャープなリードサウンドまで、幅広い表現が可能になります。
本記事では、ストラトキャスターのピックアップセレクターの基本的な仕組みと、各ポジションが持つ音色の特徴について詳しく解説します。フロント、センター、リアの各ピックアップのサウンドだけでなく、2番・4番ポジションで得られるハーフトーンサウンドの魅力についても紹介します。ストラトキャスターの持ち味を最大限に活かすために、ぜひピックアップセレクターの使い方をマスターしましょう。
ストラトキャスターのピックアップセレクターの基本とは
ストラトキャスターのピックアップセレクターは、ギターの音色を決定する重要な要素の一つです。
ストラトキャスターには通常3つのシングルコイルピックアップが搭載されており、ピックアップセレクターを操作することで、それぞれのピックアップを単独または組み合わせて使用できます。
単体の部品だと下の商品のような見た目をしていますね。
これを丸ごと替えた経験がある人はあまりいないかもしれないですが、持ち手の帽子みたいな部分が取れてしまうのは何回か経験がある人がいるのではないでしょうか。
ストラトキャスターのポジションの説明
ピックアップセレクターは5つのポジションがあり、それぞれ異なる音色を生み出します。
1番ポジションはリア(ブリッジ)ピックアップのみを使用し、歯切れの良いシャープなサウンドが特徴です。2番ポジションではリア(ブリッジ)とセンター(ミドル)ピックアップを組み合わせ、ファンキーなカッティングに適したやや軽やかな音になります。3番ポジションはセンター(ミドル)ピックアップ単独で、バランスの取れたオールラウンドな音色を提供します。4番ポジションではセンター(ミドル)とフロント(ネック)ピックアップを組み合わせ、暖かくやわらかいトーンが得られます。5番ポジションはフロント(ネック)ピックアップのみを使用し、太く甘い音色が特徴的で、ブルースやジャズにも適しています。
これらのポジションを理解し、適切に使い分けることで、ストラトキャスターの持つ多彩な音色を最大限に活かすことができます。
各ポジションのサウンドの違い
各ポジションについてもう少し細かく見ていきたいと思います。
フロントピックアップの音色
ストラトキャスターのフロントピックアップは、ギターの音色の中でも特に暖かみがあり、太く滑らかなサウンドを生み出します。ネック寄りに配置されているため、弦の振動を大きく拾いやすく、豊かな低音と甘い高音が特徴です。そのため、クリーントーンでは柔らかく奥行きのある響きを持ち、歪ませても芯のあるサウンドを維持できます。
ブルースやジャズのギタリストには特に好まれる傾向があり、エリック・クラプトンやジョン・メイヤーのようなプレイヤーがフロントピックアップを多用することで知られています。指弾きを用いると、さらに丸みを帯びた優しい音を作ることができ、コードプレイやメロウなソロに適しています。また、トーンを絞ることでよりダークでスムーズな音色になり、ジャズやバラード系の演奏にもフィットします。
一方で、歪ませると甘く粘りのあるリードサウンドを得られるため、ギターソロにも効果的です。ミッドレンジが強調されることで、サステインが伸びやかになり、歌うような表現力のあるフレーズを弾くことができます。
ギターソロでフロントに切り替えるだけでかなりソロっぽい雰囲気が出ますよ!
センターピックアップの音色
ストラトキャスターのセンターピックアップは、ブリッジとネックの中間に位置し、その音色も両者の特徴をバランスよく兼ね備えています。高音域の煌びやかさと低音域の暖かみが絶妙に融合し、クリーントーンではクリアでナチュラルな響きを持ちます。ピックのアタック感がほどよく表れ、コード弾きやアルペジオにも適しています。
センターピックアップ単体での使用は、ストラトキャスターの持つ個性的な音の中でも比較的ニュートラルなサウンドを提供します。過度に明るすぎず、かといってこもりすぎないため、カッティングやバッキングプレイにも適しており、ファンクやポップスなど幅広いジャンルで活躍します。
歪ませると、センターピックアップは粒立ちの良い音を生み出し、コードワークでも輪郭のはっきりした響きを保ちます。音の抜けがよく、リズムギターやバッキングに適したサウンドを提供するため、リードプレイだけでなくアンサンブルの中でも効果的に活用できます。
筆者はしばらくの間うまく使いこなせませんでしたが、リアほどの鋭さは必要としないけど適度にアタック感が欲しい時に最適です!
リアピックアップの音色
ストラトキャスターのリアピックアップは、シャープでエッジの効いた音色が特徴です。ブリッジ付近に配置されているため、弦の振動を最もタイトに拾い、高音域が強調された明るく抜けの良いサウンドを生み出します。クリーントーンでは、鋭く歯切れの良い音が得られ、カントリーやファンクのカッティングプレイに適しています。また、アルペジオではクリアで透明感のある響きを作り出し、バンドアンサンブルの中でも埋もれにくい音になります。
リアピックアップは、歪ませることでさらにその魅力を発揮します。中高音域の強調されたサウンドは、ロックやブルースのリードプレイに最適で、特にハードなドライブサウンドでは鋭く攻撃的なトーンになります。リアピックアップは、ストラトキャスターの持つ多彩な音色の中でも最もアグレッシブなキャラクターを持ち、ロックやブルースのプレイヤーにとって欠かせない存在と言えるでしょう。
歪みとの相性は抜群で、キレの良い音が鳴ります!
パワーコード、ブリッジミュートと非常に相性がいいです!
ハーフトーンサウンドの基本と実用例
フロントとセンターのハーフトーンサウンド
ストラトキャスターのフロントとセンターのピックアップを組み合わせたハーフトーンサウンドは、柔らかさと透明感が共存する独特の音色が特徴です。ピックアップセレクターを4番ポジションに設定すると得られ、クリーントーンでは温かみがありつつも軽やかで、ジャズやブルース、バラード系のプレイに最適です。
このポジションでは、フロントピックアップの甘く太い音に、センターピックアップの明瞭さが加わることで、奥行きのあるサウンドになります。アルペジオやコードストロークではまろやかで繊細な響きを持ち、ファンキーなカッティングでは軽やかでリズミカルなトーンを生み出します。
最近、現代最高のファンクギタリストの1人と名高い「Cory Wong」もこのポジションを「4th position」と呼んで非常に多用しています。Coryは当初ストロークの最中にピックアップセレクターに手が当たってポジションが変わってしまうため、テープでピックアップセレクターをこの「4th position」に固定していました。その後、Fenderから発売されたストラトキャスターのCory Wongモデルでは、なんとピックアップセレクターがどのポジションにあってもトーンノブが持ち上がっている時は「4th position」の状態になるという驚きの機能があります。もしこのハーフトーンサウンドに魅了されたら手にとってみてはいかがでしょうか?
Cory Wongモデルのギターについてはいくつか記事がまとまってきたら改めて紹介記事を書く予定です!
原宿のFender Flagship Tokyoで試奏したらとても弾きやすかったですよ!
センターとリアのハーフトーンサウンド
ストラトキャスターのセンターとリアのピックアップを組み合わせたハーフトーンサウンドは、独特の軽やかさと透明感を持つ音色が特徴です。ピックアップセレクターを2番ポジションに設定することで、このサウンドを得ることができ、特にクリーントーンではシャキッとした歯切れの良さと、わずかにフェイジーな響きが加わります。
リアピックアップ単体の鋭いアタック感に対して、センターピックアップが持つ少し丸みのある音色が加わることで、程よくエッジの立ったバランスの良いサウンドになります。そのため、シングルノートのリフやアルペジオでも明瞭で抜けの良い響きを保ちつつ、耳に優しいトーンが得られます。
歪ませると、やや薄めながらも粒立ちの良いサウンドが得られ、ブルースやロックのリズムギターにも適しています。音が分離しやすく、コードワークの際に濁りが少ないため、アンサンブルの中でも埋もれにくいのが魅力です。
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