BOSS DM-2は1980年代初頭に登場して以来、長年にわたり多くのギタリストに愛されるアナログ・コンパクト・ディレイです。短めのディレイタイムとBBD(バケットブリゲードデバイス)特有の温かく柔らかな反復音は、原音の輪郭を保ちながらも自然な奥行きと厚みを与えます。
近年ではオリジナルの風合いを再現しつつ機能性を高めた復刻モデル(DM-2W)も登場し、ヴィンテージの個体差を楽しむ選択肢と、安定した使い勝手を求める選択肢の両方が手に入るようになりました。
この記事ではDM-2の基本、音の特性、モデルごとの違い、実践的なセッティング例、購入時のポイントをわかりやすく解説します。
DM-2とは:生い立ちと基本スペック
DM-2はBOSSが1981年ごろに発売したアナログディレイで、当時のBBD素子を用いた回路により主に短めのディレイレンジを持つ仕様でした。構成はシンプルですが、その回路が生む音質は独特で、クリーントーンでも歪み系でも楽曲に自然に馴染みます。
製造ロットや内部部品によって個体差が出やすいため、ヴィンテージ市場では個々の個体の音色を楽しむコレクターが多い点も特徴です。
上の画像はWAZA CRAFT版のDM-2Wです。
マルチエフェクターのモデリングなどでDM-2は目にすることも多いのではないでしょうか。
音の特徴:BBDが生む温かさと“抜け”
DM-2の魅力は何よりアナログ処理による温かいリピート音にあります。デジタルディレイのような硬さはなく、倍音成分がやわらかく残ることで原音の存在感を損なわずに奥行きを付与します。そのためリピートを増やしても不自然に積み上がらず、演奏の中で違和感なく溶け込むサウンドが得られます。
特に短いディレイタイムはスラップバック的な使い方やリズムの補強に適しており、ミックスの中で「抜け」を作りたい場面で効果を発揮します。
前期型・後期型・DM-2Wの違いと選び方
オリジナルのDM-2は製造時期によって微妙に回路や部品が異なり、「前期型」「後期型」としてオーディオ的な差が語られることがあります。初期の個体は希少性が高く音色の個性も強い一方で、現代的な実用性を求めるならDM-2Wの復刻版が現実的です。
DM-2Wはオリジナルの温かさを再現しつつモード切替やロングディレイなどの追加機能を備えており、ステージや宅録での安定運用に向いています。ヴィンテージの味わいを重視するか、安定した再現性と利便性を取るかで選択基準が変わります。
DM-2Wは現代的な機能が追加されているので、ステージや宅録で安定して使いたい方におすすめです。
実践的な使い方:セッティングと音作りのコツ
DM-2を最も効果的に使うには、つまみの微調整とエフェクトの配置を意識することが重要です。クリーンなアルペジオではディレイの音量を控えめにして薄く重ねることで音の厚みが生まれますし、歪み系のサウンドでは少しリピートを上げることでリードの後ろに自然な広がりを作れます。
BBD由来のややロー・ファイな質感を逆手に取り、発振を含む長めのリピートで音響的な効果を作ることも可能です。ライブでは他のエフェクト、特にモジュレーション系やディストーションとの相性を事前に確認し、ミックス内で埋もれないバランスを探してみてください。
まとめ
BOSS DM-2は短めのディレイタイムとアナログ回路による自然な厚みを特徴とする名機で、ジャンルを問わず楽曲に馴染む効果が得られます。ヴィンテージの個体差を楽しむか、復刻モデルの安定性と機能性を取るかは用途次第ですが、どちらを選んでも「原音を損なわずに空間を作る」性能は非常に高いです。
まずは自分の機材環境で短めのディレイから試してみて、曲ごとに微調整を重ねることで最適なセッティングを見つけてください。





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