Electro-Harmonix(エレクトロ-ハーモニクス)Pico Swelloは、POG2に搭載されていた“アタック(エンベロープ)”機能をコンパクトな筐体に凝縮したアタック・エンベロープ・ペダルです。指でピッキングした瞬間の立ち上がりを遅らせることで、ヴァイオリンやチェロのような弓弾きサウンドやペダルスチール風のスウェル、さらにシンセのパッド的な広がりまでを簡単に作り出せます。
コントロールはシンプルで直感的に扱える一方、フィルターやモジュレーションとの組み合わせで奥深い音作りも可能です。コンパクトなサイズと手頃な価格により、POG2の“あの音”をより小さなペダルボードで再現したいプレイヤーにとって魅力的な選択肢になっています。
Pico Swelloとは何か
Pico Swelloは音の立ち上がりを意図的に操るためのエフェクトを専門にした小型ペダルです。各音符に対して独立したポリフォニックなスウェルをかけられるため、複数の弦を同時に鳴らすコード演奏でも一音一音が滑らかに立ち上がります。
この特性により、アルペジオや和音の流れをまるで弓で弾いたかのように整えることができます。元来POG2にあったアタック系の設計思想を受け継ぎつつ、より小型で手軽に扱える点が本機の大きな特徴です。
操作系と主要な機能
本機は4つのノブといくつかのスイッチを採用したシンプルな操作系になっています。具体的にはボリューム、アタック、周波数(Freq)、モジュレーション(Mod)の4つのノブで、アタックを回すほど音の立ち上がりが遅くなり、ボリュームで最終出力を調整します。
フィルターモードを切り替えることでローパス的な音色変化が得られ、モジュレーションはフィルターの動きを与えてワウ風や揺らぎのあるテクスチャを生み出します。設定自体は直感的ですが、フィルターとアタックの相互作用で意図しない音色変化が生じることもあるため、微調整を行いながら狙いの音に仕上げることが重要です。
アタックやフィルター、モジュレーションを素早く調整できるため、その場で音色を追い込んでいくことができますね。
サウンドの特徴と実戦での使い方
Pico Swelloのサウンドは非常に有機的で、低速のアタック設定ではチェロやペダルスチール的な豊かなスウェルが得られます。逆にアタックを短めに設定すると、ピッキングのアタック感を丸めることでコンプレッサー的な役割を果たし、バックグラウンドで自然に溶け込む表現を作ることが可能です。
フィルターとモジュレーションを組み合わせれば、ループで積むパッド系のサウンドやリバース風の効果も狙えます。一方で、高域を強調した設定や一部のフィルター設定ではデジタル由来のアーティファクトが目立つ場合があるため、求める質感に応じて他のエフェクトと組み合わせることをおすすめします。
POG2や他ペダルとの比較、導入時の注意点
POG2のアタック機能を愛用していた人にとって、Pico Swelloは“POG2のエッセンスを小さくした”存在と言えます。しかしPOG2が持つピッチシフト機能や多機能性とは役割が異なり、Pico Swelloはアタック/スウェル系の表現に特化しています。
アルペジオや速いフレーズで使用する際は、アタックの時間がリズム感に与える影響を意識する必要があります。ペダルボードへの収まりは良く、POG2のサブ用途やPOG2を置き換えてコンパクト化したいプレイヤーには扱いやすい選択肢です。
まとめ
Pico SwelloはPOG2由来のポリフォニック・アタック/スウェル表現を手頃なサイズと価格で実現したペダルです。チェロやペダルスチール風の滑らかなスウェルからシンセパッド的な広がり、さらにはコンプレッサー的な微調整まで幅広く対応できます。
フィルターやモジュレーションとの相互作用で深い音作りが可能ですが、設定次第ではデジタル感やリズム感への影響が出る点には注意が必要です。アンビエントやシネマティックな表現を求めるギタリストやベーシストには特におすすめできる一台です。






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