PIGTRONIXのMothership 2は、ギタリストがペダル一つでアナログ・シンセのパワーを手に入れられる意欲作です。三つの独立したボイス(矩形波・三角波・サブオクターブ系)を組み合わせる設計により、リードからサブベースまで幅広い音作りが可能で、リアルタイムのピッチ/アンプリチュード追従とアクセルレーションするポルタメント機能を備えています。
小型でペダルボードに収まりやすく、外部CVやエクスプレッション入力で拡張もできるため、ライブや宅録での即戦力として注目を集めています。この記事では、Mothership 2の主要機能、サウンドの特徴、操作性、実際の使いどころ、そして購入判断のポイントをわかりやすく掘り下げます。
主要スペックと設計思想
Mothership 2は、ペダルサイズの筐体に三つのアナログ・ボイスを搭載したモノフォニック・シンセで、各ボイスは波形とレベル調整が可能です。ハードシンクやポルタメント、サブ出力の独立コントロールなど、アナログ機器としての表現力を重視した設計が随所に見られます。
また、プリセット・チューニングの切替や外部CV/Expressionでの制御が可能で、シンプルなインターフェースながら拡張性を確保している点が特徴です。メーカーが打ち出す「リアルタイムのピッチ/アンプリチュード追従」という設計思想は、ギター演奏のダイナミクスを活かした自然なシンセ表現を目指していることを示しています。
音質とトラッキング性能:何ができるか
音色面では、矩形波に由来する太くシャープなリード音から、三角波主体のやや丸いトーン、そして深いサブオクターブによるファットなベースまで、かなり幅広いサウンドメイクが可能です。特に単音でのトラッキング(ピッチ追従)は高評価を受けており、クイックな反応でフレーズに追従するためリードやフレーズ用のシンセ音として有効だというレビューが多く見られます。
ただし、和音や複雑なダブルストップには向かないため、用途はシングルノート主体のプレイに限定される点は理解しておく必要があります。実用面では、エクスプレッションやCVでの変化を組み合わせれば、演奏に即した生きたシンセ表現が可能です。
操作性とペダルボード適合性
筐体はペダルボード向けにコンパクトですが、コントロールはデュアルコンセントリックつまみや多数のスイッチを詰め込んだレイアウトになっています。これにより細かな音作りが可能な一方で、ステージでの視認性や大まかな調整のしやすさに課題があるという指摘もあります。
特につまみが小さく視認しづらいとのレビューがあり、ライブ使用時には事前のプリセット設定やミキサー側での調整と組み合わせる運用が現実的です。また、ドライ(ギター)信号とのミックスやサブアウトの活用で、バンドアレンジの中でも存在感を出せる設計になっています。
もともとのMothership(electro-Harmonix製)は大きな筐体が難点とされていましたが、コンパクトになってもそれはそれで難しいところがあります。
実際の使いどころと購入判断
Mothership 2は常にこれだけで弾くタイプのペダルではなく、特定用途で強力に機能するツールと考えると良いです。単音フレーズのリード、太いサブベース、特殊効果的なモジュレーションやシンク・サウンドを簡単に得られるため、楽曲アレンジやサウンドデザインでアクセントを付けたいギタリストやベーシストに向いています。
価格帯や入手性は販売店によって変動しますが、国内の流通では比較的手に入りやすく、コストパフォーマンスの面でも評価されています。そのため、まずは実機でのトラッキング確認と自分の演奏スタイルに合うかを試すのが賢明です。
そこそこの価格帯のエフェクターにはなるので、コピーしたいバンドが明確に決まっているなど、出したい音が決まっている場合に購入することをおすすめします。
日本のバンドでいうと『岸田教団&THE明星ロケッツ』がアルバム『POPSENSE』で初代のMothership(electro-Harmonix製)を使用していたことは比較的有名でしょうか。
編成にシンセがいないのに同期ではなくギターからシンセの音が出ている不思議な感覚に包まれます。
まとめ
PIGTRONIX Mothership 2は、小さな筐体に詰め込まれた「使える」アナログ・シンセです。トラッキング性能と三つのボイスが生む音色の幅、そしてCV/エクスプレッションによる拡張性が魅力で、正しく使えば楽曲の色付けに強力な武器となります。
一方で操作時の扱いやすさや多音の追従という点では限界もありますので、用途を単音中心のサウンドメイクに絞れるプレイヤーに特におすすめしたいです。購入前には実機でのトラッキング確認と、ペダルボード上での視認性を念頭に入れて検討してください。






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