1978年に登場したProCo RATは、その独特の歪みと攻撃的なサウンドで、多くのギタリストに愛され続けているディストーションペダルです。シンプルな3ノブ構成ながら、クランチからファズに近い激しい歪みまで幅広い音作りが可能で、ロック、パンク、メタルなど様々なジャンルで活躍しています。長年にわたり改良が加えられ、現在では複数のモデルが存在しますが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか?
本記事では、RATシリーズの特徴やモデルごとの違いを詳しく解説し、あなたに最適なRATを見つけるお手伝いをします。
ProCo RATの特徴
RATの最大の特徴は、太く荒々しい歪みと優れたサスティンです。オーバードライブとファズの中間のようなサウンドが特徴的で、歪みを強めると鋭く突き抜ける高域とタイトな低域を持った攻撃的なトーンになります。また、フィルター(Filter)ノブによって高音域を調整できるため、耳に痛い高音を抑えたり、よりクリアなサウンドにすることが可能です。
RATはギターのみならず、ベースにも使用されることがあり、音の輪郭をしっかりと保ちながらもパワフルな歪みを加えることができます。そのため、多くのアーティストがライブやレコーディングで愛用しており、ジャンルを超えて高い評価を受けています。
その実物に触れる前にやはり東京事変の『丸之内サディスティック』の歌詞でその存在を知った人が大多数なのではないでしょうか。
一般の音楽好きな人のみならずギタリストでもその傾向はあるかと思います。
まあ今や初代RATも丸之内サディスティックも過去のものとなりつつあるのでしょうかね…
余談ですが似たような文脈にリッケンバッカーをリーガルリリーで知ったというものがありますよね。
このパターン、元からその存在を知り当たり前だと思っていた人はイメージがすげ替えられるような感覚を覚えてえてして複雑な気持ちになりがちなものですが、新入者を拒まずに門戸を広く構えたいものですね。
リッケンバッカー↓
主なモデルとその違い
現在では、オリジナルのRATの性能を継承しつつ改良が加えられた様々なモデルが普及しています。ここでは各モデルのその特徴を紹介していきたいと思います。
1. RAT2
RAT2は1988年に登場し、現在も最も普及しているモデルです。オリジナルのRATの基本的なサウンドを受け継ぎつつ、耐久性の向上や操作性の改良が施されています。シリコンクリッピングダイオードを使用し、力強くエッジの効いたディストーションサウンドが特徴です。
2. Turbo RAT
1989年に登場したTurbo RATは、クリッピングダイオードに赤色LEDを採用し、より高い出力と強烈な歪みを実現しました。RAT2と比べると、よりファットでパンチのあるサウンドを持ち、ハードロックやヘヴィメタルなどのジャンルに適しています。
3. You Dirty RAT
2004年に登場したYou Dirty RATは、ゲルマニウムダイオードを使用しており、よりウォームでビンテージライクな歪みを生み出します。60〜70年代のクラシックロックやブルース向けの、柔らかく温かみのあるトーンを持つのが特徴です。
4. FAT RAT
FAT RATは2014年に登場したモデルで、従来のRATにベースブースト機能やクリッピングモードの切り替え(シリコン/MOSFET)を追加し、多彩な音作りを可能にしました。さらに、18V駆動に対応しているため、より広いダイナミックレンジを確保できるのも魅力です。
5. Lil’ RAT
Lil’ RATは、RAT2のサウンドをそのままに、よりコンパクトな筐体に収めたモデルです。ペダルボードのスペースを節約しながらも、クラシックなRATサウンドを求めるプレイヤーに最適です。
省スペースは非常に魅力的ですよね!
しかしあの特徴的な正方形にこそRATの魅力が詰まっていると思うのは筆者だけでしょうか…?
モデル間の比較と選び方
RATシリーズの各モデルは、基本的なキャラクターを維持しながらも、異なるサウンドの特徴を持っています。シリコンダイオードを使用するRAT2はスタンダードな歪みが魅力で、赤色LEDのTurbo RATはより強い歪みを提供します。ゲルマニウムダイオードを採用したYou Dirty RATはヴィンテージなトーンを持ち、FAT RATは多機能で柔軟な音作りが可能です。
自分の音楽スタイルに合ったモデルを選ぶことで、理想のディストーションサウンドを手に入れることができるでしょう。RATの持つ独特な歪みは、一度試せばクセになること間違いなしです。
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