BOSS WAZA Tube Amp Expander Coreは、真空管アンプのスピーカー出力を受け、自宅での小音量演奏やヘッドホン練習、録音へつなぐための機材です。リアクティブ・ロード、30Wのパワーアンプ、キャビネット/マイクのシミュレーションを一台にまとめています。
「気に入っているアンプはあるけれど、自宅では音量を上げられない」「マイクを立てずに、そのアンプで録音したい」。そんな悩みに向いた製品ですが、ギターを直接つないでアンプの音を作るマルチエフェクターとは、役割も接続方法も異なります。
この記事では、Coreでできること、通常版との違い、購入前に確認しておきたい接続条件を整理します。
WAZA Tube Amp Expander Coreは何をする機材?
真空管アンプの出力を受け止めるリアクティブ・ロード
真空管アンプのスピーカー出力には、対応するスピーカーやロードという「負荷」が必要です。Coreはこの負荷を引き受け、スピーカーをつながなくてもアンプを使える状態にします。
リアクティブ・ロードは、スピーカーにつないだときのような周波数による負荷の変化を再現する仕組みです。CoreではCOMBOとSTACKの2種類を切り替えられます。製品の概要は、BOSS公式のCore製品ページでも確認できます。
実際のアンプを鳴らし、その後の音量を調整する
実キャビネットを使う場合は、受け取ったアンプの音をCore内蔵の30Wパワーアンプで増幅し直します。アンプ側の音作りと、部屋で鳴らすスピーカーの音量を分けて調整できるのがポイントです。
音の出発点になるのは、手持ちの真空管アンプです。 アンプ/キャビネットのモデルを内蔵するBOSS IR-2 Amp & Cabinetのような製品とは、この点が大きく異なります。Core単体にギターをつないで、さまざまなアンプの音を呼び出す使い方はできません。
なお、音量を下げれば実スピーカーの動き方や部屋への音の広がりも変わります。大音量時の体感まで完全に同じになる、と考える機材ではありません。
小音量演奏・ヘッドホン・録音でできること
| 使い方 | 主な接続先 | できること |
|---|---|---|
| 実キャビネットで練習 | TO SPEAKER | Core側でスピーカーの音量を調整 |
| ヘッドホンで練習 | PHONES | 実キャビネットを鳴らさずにモニター |
| 録音・PAへ出力 | USB-C/XLR LINE OUT L・R | キャビネット/マイク処理を加えた音を送る |
USBオーディオ・インターフェース機能を備えているので、パソコンへ直接録音できます。パソコン接続では、取扱説明書に従って専用ドライバーを用意します。
録音する音は、キャビネットとマイクまで調整できる
ライン出力やヘッドホンでは、アンプの出力にキャビネット/マイクの響きを加えられます。BOSSのキャビネットIRを22種類、マイク・モデルを5種類備え、マイクは最大2本を組み合わせられます。ユーザーIRの保存枠も64あります。
MIX ASSISTは、他の楽器と合わせるときの音の収まりを調整する機能です。AIR FEELは、部屋でアンプを聴くような空間の響きを加えます。役割は異なり、曲全体のミックスを自動で仕上げる機能ではありません。
キャビネット/マイク処理とAIR FEELは、実キャビネットへの出力にはかかりません。 実スピーカーで聴く音と、ライン・ヘッドホン・USBへ送る音を分けて考えると、設定しやすくなります。
内蔵エフェクトで、アンプの後段に残響を足せる
コンプレッサー、ディレイ、リバーブ、EQを内蔵し、設定は10個のRIGに保存できます。たとえば、アンプで歪みを作り、その後ろにCoreのディレイやリバーブを加える使い方ができます。
残響をどのくらい足すか迷う場合は、ディレイ・リバーブ・エコーの選び方で役割を整理すると、必要な効果を絞りやすくなります。詳しい設定と信号の流れは、公式エディター取扱説明書(PDF)に掲載されています。
スマートフォンからBluetoothで編集したり、音楽を再生したりするには、別売のBT-DUALが必要です。
通常版との違いと、Coreが向いている人
Coreと通常版のWAZA Tube Amp Expanderは、入力できるアンプの出力、インピーダンス、内蔵パワーアンプの出力が異なります。名前だけで同じ接続条件だと判断しないことが大切です。
| 比較項目 | Core | 通常版 |
|---|---|---|
| 接続する真空管アンプの最大出力 | 100W | 150W |
| アンプ側から見た入力インピーダンス | 8Ω固定 | 4/8/16Ω切り替え |
| 内蔵パワーアンプの定格出力 | 30W(8Ω) | 100W(8Ω) |
| リアクティブ・ロードの調整 | COMBO/STACK | RESONANCE-Z/PRESENCE-Z |
| 本体重量 | 2.2kg | 6.8kg |
通常版の仕様は、BOSS公式のWAZA Tube Amp Expander製品ページで確認できます。
Coreの「30W」は、内蔵パワーアンプの出力です。 接続できる真空管アンプの上限が30Wという意味ではありません。一方、100Wアンプをつないでも、Coreから実キャビネットへ出す定格出力は30W/8Ωです。
自宅練習や録音が中心で、使いたいアンプがCoreの接続条件を満たしているなら、Coreの小ささと軽さは選びやすい理由になります。実キャビネットで大きな音量を必要とする場合や、8Ω以外のアンプ出力を使いたい場合は、通常版との比較が必要です。
これから練習・録音環境を一式そろえる段階なら、アンプ、キャビネット、エフェクトの機能をまとめたLine 6 POD Goのような製品も比較対象になります。「今ある真空管アンプの音を使いたいか」が、Coreを選ぶ際の分かれ目です。
接続前に確認したい条件と注意点
アンプ側は最大100W・8Ωに対応していること
CoreのFROM TUBE AMP端子は8Ω固定で、最大100Wの真空管ギターアンプに対応します。アンプのスピーカー出力を8Ωに設定できるか、取扱説明書と端子表示を確認してください。トランジスタ・アンプやClass Dパワーアンプは接続できません。
Mesa/BoogieのDual RectifierとTriple Rectifierは、メーカーが接続不可としています。 出力の数字だけで適合を判断せず、機種ごとの注意事項も確認しましょう。
基本の接続は、ギターを真空管アンプのINPUTへ、アンプのスピーカー出力をCoreのFROM TUBE AMPへつなぎます。実キャビネットを使う場合は、CoreのTO SPEAKERからつなぎます。アンプの別のスピーカー出力へ、キャビネットを同時につなぐことは避けてください。
TO SPEAKERにつなぐキャビネットは4〜16Ωに対応し、許容入力30W以上を基本に選びます。ヘッドホンやライン出力だけで使うときは、ここにキャビネットをつながなくても構いません。PHONESへヘッドホンを挿すと、TO SPEAKERの出力はミュートされます。
スピーカー接続とエフェクト・ループのケーブルを分ける
アンプからCore、Coreから実キャビネットの2か所には、スピーカーケーブルを使います。見た目の端子が同じでも、ギター用シールドやパッチケーブルで代用しないでください。
一方、外部エフェクター用のSEND/RETURNはモノラルのエフェクト・ループです。接続機器に合わせて動作レベルを選び、エディターで直列/並列を設定できます。こちらの信号接続では、パッチケーブルの長さやプラグ形状の選び方が、機材を無理なく配置する参考になります。
接続を変えるときは各機器の電源を切り、音量を下げて作業します。電源を入れる順序はCore、真空管アンプ、その他の機器。切るときは逆順にし、真空管アンプより先にCoreの電源を切らないようにします。
Coreは付属ACアダプターで動作します。側面の通気口をふさがず、放熱できる場所へ設置してください。部屋の音量を下げても真空管アンプ自体は動作しているため、アンプ側の放熱にも配慮が必要です。接続図と操作の詳細は、Core取扱説明書(PDF)を確認してください。
まとめ
WAZA Tube Amp Expander Coreは、真空管アンプのスピーカー出力を受け、実キャビネットの音量調整、ヘッドホン練習、マイクを立てない録音へつなげる機材です。
愛用の真空管アンプを、自宅でも録音でも使い続けたい人に向いた選択肢です。まずはアンプが最大100W・8Ωという条件に合うか、接続不可の機種に該当しないかを確認し、そのうえで実キャビネットに必要な出力や録音方法を考えると、通常版との選び分けもしやすくなります。




