IK Multimedia TONEX Board — 2系統と3モードで組み立てる足元の音作り

エフェクター
アンプの音を持ち歩くだけでなく、曲ごとのエフェクトや足元の切り替えまで1台にまとめたい。IK MultimediaのTONEX Boardは、そんな使い方を考えたくなるギター/ベース用プロセッサーです。2つの信号経路を使った音作りと、タッチスクリーンによる編集が特徴になっています。

2026年9月の登場後、10月にはUSB録音に対応する更新も案内されました。今回は音色の数を追うよりも、2系統をどう組み合わせるか、ライブ中に何を踏んで切り替えるか、導入前に何を用意するかという順番で整理します。

TONEX Boardは何をまとめられる?

TONEX Boardは、アンプや歪みペダルなどを取り込んだ「Tone Model」と、ディレイやリバーブなどのエフェクトを組み合わせて使う機材です。メーカー公式ページでは、AmpliTube由来のものを含む76種類のエフェクト、5インチのタッチスクリーン、4つのフットスイッチが案内されています。

好きな音を選ぶだけでなく、その前後に何を置くかまで本体で考えられるのがポイントです。まずはアンプとキャビネットの音を決め、必要な歪みや空間系を足す、と段階を分けると整理しやすいですね。機材全体の選び方から考えたい場合は、マルチエフェクターを用途別に選ぶガイドも判断の土台になります。

外部ペダルを組み込むFXループは、1系統のステレオ、または2系統のモノラルとして使えます。お気に入りのペダルを残しながら、アンプ音とそれ以外の処理を集約する構成も考えられます。手持ちの何を残し、どこをBoardに任せるかを先に決めると、多機能さを持て余しにくくなります。

2系統の音をどう組み合わせる?

TONEX Boardは2つの信号経路を使い、1プリセット内で最大4つのTone Modelを同時に扱えます。ただし内訳は、各経路にアンプ1つとストンプ1つ。「4つ使える=アンプを4台並べられる」という仕様ではありません。

使い方の案としては、片方にクリーン、もう片方に歪みの強いアンプ音を置き、混ぜる量で輪郭と厚みのバランスを探る方法があります。まず片方だけで音を作り、もう片方を少しずつ足すと、どちらが音の変化を受け持っているか分かりやすいはずです。これは設定を考えるための例で、特定の組み合わせでの試奏結果ではありません。

出力はXLRとTRSによる独立した2組のステレオ出力を備え、キャビネット処理あり/なしの信号を分けて送ることもできます。PAと手元のアンプを併用したい場合は便利ですが、まず接続先がどの音を必要とするかを決め、その後で経路を組む順番がおすすめです。

一方、今のボードへ小さなTONEXを足すことが目的なら、IK Multimedia TONEX Oneも比較候補になります。省スペースの追加機材として考えるか、複数の経路と演奏中の操作をまとめる中心機材として考えるかで、Boardを選ぶ理由がはっきりします。

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プリセット・シーン・ストンプはどう使い分ける?

TONEX Boardのフットスイッチ操作には、プリセット、シーン、ストンプという3つのモードがあります。名前だけでは似て見えますが、「どの範囲を一度に切り替えたいか」で分けると理解しやすくなります。

モード 操作の考え方 使い方の例
プリセット 保存した音作り一式を呼び出す 曲ごとにアンプやエフェクトの構成を変える
シーン 同じプリセット内の設定をまとめて切り替える 曲中のバッキングとソロを分ける
ストンプ 割り当てたエフェクトのオン/オフを操作する その場でディレイや歪みを足す

最初の音作りでは、1曲分のプリセットを作り、その中に「通常」「ソロ」「空間系を深くした場面」を用意する、と考えるとシーンの役割が見えます。逆に、演奏しながら自由にエフェクトを出し入れしたいならストンプが候補です。最初から全部のモードを使いこなそうとしなくても大丈夫です。

複数の操作をまとめる考え方は、スイッチャーの役割と選び方にもつながります。ただし、Board内の設定を切り替える操作と、外部ペダルそのものを制御する仕組みは分けて考えましょう。外部機材まで連動させる場合は、FXループやMIDIを含めた接続確認が必要です。

USB録音と導入前に確認したいこと

USBオーディオは更新で追加済み

2026年10月2日付のメーカー更新案内では、ファームウェア1.1.0で4入力/2出力のUSBオーディオとUSB MIDIが追加されたことを確認できます。録音側の4チャンネルは、エフェクト処理済みの2チャンネルとDIの2チャンネルという構成です。

発売時の「USB録音は近日対応」という情報だけで判断しないことが大切です。導入時は本体と関連ソフトの更新状況を確認し、DAWへ入る音が処理済みかDIかを確かめてから録音を始めましょう。DIも残しておけば、後で音作りを見直す材料になります。

キャプチャー作成は別の準備が必要

用意されたTone Modelを使うことと、自分のアンプを取り込んでTone Modelを作ることは別の作業です。国内代理店の製品案内でも、キャプチャーには別売りのTONEX Captureなどが必要と注記されています。手持ちの実機を取り込むことが購入目的なら、ソフトウェアと接続機材まで含めて準備を確認しましょう。

電源と持ち運びまで含めて考える

本体の寸法は235×184×72mm、重量は1.6kgで、電源アダプターが付属します。まずは付属電源を使う前提で設置を考えると分かりやすいです。既存ボードの電源へまとめる場合は、パワーサプライの選び方を参考に、電圧・極性・供給できる電流を本機の指定と照合してください。

また、本体が収まる寸法だけでケースを決めると、背面のプラグや電源ケーブルの分を見落としがちです。外部ペダルも残すなら、エフェクターボードとケースの選び方を踏まえ、配線を挿した状態の奥行きと、ケース込みの重さまで見ておきたいですね。

まとめ

TONEX Boardは、TONEXのアンプ音に加えて、2系統の組み合わせと演奏中の切り替えまで作り込みたい人に向いた機材です。プリセットで曲ごとの構成を用意し、シーンやストンプで曲中を操作する、と役割を分けると特徴がつかめます。

最初は1つのアンプ音から始め、必要に応じてもう一方の経路や外部ペダルを足していくとよいと思います。購入前には足元で必要な操作、接続先、更新後のUSB録音環境を確認し、自分の機材構成をどこまでまとめたいかで判断してみてください。

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