UAD Showtime ’64 Tube Ampは、Universal Audioが展開するUADネイティブ系のギターアンプ・プラグインです。ざっくり言えば、1960年代アメリカン・チューブアンプ系の大きなクリーン、太い低域、きらびやかな高域、そして独特のビブラート感を、DAW上で扱えるようにした一台ですね。
最近は、BOSS IR-2やTONEX One、Nano Cortexのように「アンプを持ち運ばずに完成したギターサウンドを作る」機材がかなり増えています。その流れの中でShowtime ’64は、足元のペダルというより、宅録やリンプ、デモ制作で“録れるアンプ音”をすぐ作りたい人に向いたソフトウェア側の選択肢です。
この記事では、UAD Showtime ’64 Tube Ampの基本的な特徴、音の方向性、操作の考え方、そして導入前に知っておきたい注意点を整理します。公式情報やマニュアルは、Universal Audio公式ページ、Showtime ’64 Tube Amp Manual、UAD Guitar Amp Plug-Insのセットアップ解説もあわせて確認しておくと安心です。
UAD Showtime ’64 Tube Ampはどんなプラグインか

UAD Showtime ’64 Tube Ampは、いわゆるアンプシミュレーター/アンププラグインの一種です。ギターをオーディオインターフェースに接続し、DAW上のトラックにこのプラグインを挿すことで、アンプ、キャビネット、マイク、ルーム感まで含めたギターサウンドを作ることができます。
公式では、初期ロック、ポップ、サーフ、ソウルのサウンドを支えたヴィンテージ・アメリカン・チューブアンプ系のトーンを狙ったモデルとして紹介されています。特にポイントになるのは、強く弾いてもすぐに潰れすぎないクリーンヘッドルームの広さです。
この方向性は、コンパクトペダル型のアンプシミュレーターとは少し立ち位置が違います。たとえばBOSS IR-2 Amp & Cabinetはペダルボード終端に置いてライブやヘッドホン練習にも使いやすい機材ですが、Showtime ’64はDAW内で録音・編集する前提のアンプとして考えると分かりやすいです。
つまり、ステージの足元機材というより「自宅でギターを録るときに、マイク立てや爆音アンプなしで、太いクリーン〜軽いクランチを作りたい」人向けの一台ですね。
音の方向性:大きなクリーンとペダルプラットフォーム感
Showtime ’64の魅力は、派手なハイゲインではなく、どっしりしたクリーン〜軽く押し出したクランチにあります。低域はしっかり太く、高域はアメリカンアンプらしいきらびやかさがあり、シングルコイルのカッティングやアルペジオを前に出しやすいタイプです。
歪みの量だけで見ると、現代的なメタル向けアンプシムとは方向性がかなり違います。むしろ、ギター本体のキャラクター、ピッキングの強弱、前段に置くオーバードライブの質感を活かすための“大きなクリーンの土台”として使うと良さが出やすいと思います。
この「土台を作る」という意味では、ペダルプラットフォーム的な考え方に近いです。たとえば、軽いオーバードライブやブースターを前段に置いて、アンプ側はクリーン寄りに保つ使い方と相性が良さそうです。当サイトで取り上げたBOSS BP-1W Booster/Preampのような“前段の味付け役”を考えると、イメージしやすいかもしれません。
また、UAD公式ブログでは、Showtime ’64がギターだけでなく、ベースやバリトン系のトーンにも使えるという文脈で紹介されています。太い低域と広いヘッドルームを持つアンプなので、普通のギター録音だけでなく、少し低めのレンジを扱うトラックにも試す価値があります。
操作と音作りのコツ:Volume、Bright、Room、Mic、Vibrato
Showtime ’64は、アンプらしいシンプルな操作系で音を作れるのが魅力です。基本はVolume、Treble、Middle、Bassでアンプの押し出しとEQを決め、必要に応じてBright、Room、マイク設定、Vibratoを調整していく流れになります。
まずVolumeは、単なる音量というよりアンプのゲイン感を決める中心です。上げていくと、クリーンのまま太さが増し、さらに押すと軽いコンプレッションやブレイクアップ感が出てきます。音量だけを整えたい場合は、アンプのVolumeではなくOut側で最終レベルを合わせるのが自然です。
Brightは、高域の抜けや輪郭を足すスイッチとして考えると分かりやすいです。クリーンのアルペジオやサーフ系のフレーズでは気持ちよく効きますが、歪みペダルや高出力ピックアップと組み合わせると少し明るく感じることもありそうです。耳に痛い場合はNormal寄りで整えると扱いやすいですね。
Roomは、アンプを録ったときの部屋鳴りを足すコントロールです。宅録では、ギターがラインっぽく前に張り付きすぎることがありますが、Roomを少し足すと録音物としての空気感が出しやすくなります。ただし、後段でリバーブを使う場合は入れすぎないほうがまとまりやすいです。
マイク設定は、音の仕上がりを大きく変えるポイントです。マニュアル上では、57+Ribbon 121、Condenser 414、Ribbon 160の3種類のマイクセットアップが用意されています。ざっくり言えば、57+Ribbon 121はギターらしい押し出し、Condenser 414はレンジ広め、Ribbon 160は滑らかで耳当たりのよい方向に寄せやすい、と考えると選びやすいです。
そしてShowtime ’64らしさを出すなら、Vibratoも重要です。公式マニュアルでは、一般的なトレモロというより、ロータリースピーカーに近い水っぽい揺れを持つハーモニック・ビブラート回路として説明されています。揺れを深くしすぎると主張が強くなるので、最初はSpeedとIntensityを控えめにして、曲のテンポに馴染む位置を探すのがおすすめです。
導入前に知っておきたい注意点
Showtime ’64はソフトウェアなので、ハードのアンプシミュレーターとは注意点が少し違います。まず、DAWやプラグインを使う環境が必要です。Universal Audioの案内では、ネイティブUADプラグインとしてmacOS/Windows環境で動作し、UAハードウェアなしでも使えるとされていますが、ライセンス管理にはiLokアカウントが必要です。
また、弾き心地を左右するのが入力レベルとレイテンシです。UADのセットアップ解説では、Hi-Z入力にギターを接続し、オーディオインターフェース側のプリアンプゲインを最小にし、プラグインのINをデフォルトのHi-Z位置にすることが推奨されています。ここを適当に上げすぎると、アンプ本来の反応からズレてしまう可能性があります。
レイテンシについては、DAWのバッファサイズを下げるほど弾きやすくなります。UADの解説では64サンプル以下が理想的とされていますが、実際にはPCの性能やプロジェクトの重さにも左右されます。録音時は不要な重いプラグインを切る、マスター段の処理を一時的に外す、インターフェースのダイレクトモニタリングを切る、といった基本も大事です。
もし「PCを立ち上げず、すぐ弾ける練習環境が欲しい」という目的なら、IK Multimedia TONEX One、Neural DSP Nano Cortex、Mooer Prime P1、SONICAKE Pocket Masterのような小型ハードのほうが合う場面もあります。逆に、DAWで録音しながら音を作り込みたいなら、Showtime ’64のようなプラグイン型はかなり便利です。
まとめ
UAD Showtime ’64 Tube Ampは、DAW上でヴィンテージ・アメリカン・チューブアンプ系の大きなクリーン、太い押し出し、チューブ・ビブラートを扱えるアンププラグインです。ハイゲインで攻めるというより、ギター本体やペダルの個性を活かすクリーン〜軽いクランチの土台作りに向いた一台だと思います。
音作りでは、Volumeでアンプの反応を決め、Treble/Middle/Bassで帯域を整え、BrightやMic設定、Roomで録音物としての質感を追い込むのが基本です。Vibratoを薄く足せば、サーフ、ポップ、ソウル、インディー系のクリーンギターにもかなり使いやすいはずです。
一方で、ソフトウェアなので、DAW環境、オーディオインターフェース、入力レベル、レイテンシの管理は必要です。PCを使わずにすぐ弾きたい人にはハード型のアンプシミュレーター、宅録で“録れるアンプ音”を作りたい人にはShowtime ’64、という切り分けで考えると選びやすいですね。
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