国内販売店NINEVOLTは、2026年10月1日のお知らせで本機の販売開始を告知しています。この記事では公式仕様をもとに、仕組み、音作りの進め方、購入前の確認点を整理します。
SpaceTime V3はどんなディレイ?原音と反復音を分けて考える
SpaceTime V3は、原音をアナログの信号経路に残し、別の経路でデジタル生成したディレイ音を混ぜるペダルです。原音の通り道がアナログであることと、反復音を作る方式は別の話として捉えると、特徴が分かりやすくなります。
そのため、全体をBBD方式のアナログディレイとして扱うのは適切ではありません。デジタル処理の基本から整理したい方は、デジタルディレイの仕組みと使い方を読むと、原音と遅延音を区別して考えやすくなります。
最大ディレイタイムは660ms。時間、繰り返し、音量に加えて、反復音の明るさと揺れを調整できます。メーカー公式のSpaceTime V3製品ページでは、温かみのある深いディレイとして紹介されています。これはメーカーによる説明であり、以下の設定案も実機試奏の再現値ではありません。
明るさと揺れを整える、5つの操作
| 操作部 | 調整するもの | 最初に聴き比べる点 |
|---|---|---|
| TIME | 音が返ってくるまでの時間 | 短い重なりにするか、間を空けた反復にするか |
| REPEATS | 繰り返す回数 | 次のフレーズまで音が残りすぎないか |
| MIX-LEVEL | ディレイ音の音量 | 原音に添えるか、反復を聴かせるか |
| TONE | Bright/Mellow/Darkの3段階 | 反復音の高域をどの程度残すか |
| MOD | ディレイタイムの揺れ | 揺れを控えるか、動きを加えるか |
TONEはBrightからMellow、Darkへと高域を抑える切り替えです。まずMellowを基準にし、反復をもう少し目立たせたいときはBright、角を丸めたいときはDarkを試すと、役割をつかみやすいでしょう。これは仕様から考えた試し方で、実際の聴こえ方はギターやアンプでも変わります。
MODはディレイ音に動きをつけるためのつまみです。最初は控えめにし、TIMEとREPEATSを決めてから足していくと、揺れと音の重なりを分けて確認できます。
自宅で試すなら、反復を増やす前に音量を決める
短いコードを弾き、MIX-LEVELを低め、REPEATSを少なめにして始めます。TIMEで間隔を決めたら、単音フレーズに切り替え、反復音が必要な量だけMIX-LEVELを上げてみましょう。長い余韻が欲しくなった段階でREPEATSを増やすと、何を変えたのか追いやすくなります。
REPEATSを高くすると自己発振する仕様のため、最初から大きく上げないようにします。リバーブと重ねて音が混み合う場合は、ディレイとリバーブの違い・つなぎ方を参考に、まずディレイだけで反復回数と音量を整えると比較しやすくなります。
Carbon CopyやDD-3Tとは、どこで選び分ける?
同じディレイでも、信号の作り方と操作の優先順位は異なります。SpaceTime V3では、反復音の明るさを3段階で切り替えられることと、表面のMODつまみで揺れを調整できることが比較の軸になります。
アナログ回路の反復音を選ぶならCarbon Copy
MXR Carbon Copyの特徴の通常版M169は、BBDによるアナログ方式で最大600msのディレイを作り、モジュレーションも加えられます。こちらは反復音までアナログ方式である点が違いです。「原音をアナログで通したい」のか、「反復音を含めてアナログ方式を選びたい」のかを分けると、比較しやすくなります。
足でテンポを指定したいならDD-3T
曲ごとに反復のテンポを合わせる操作を優先するなら、BOSS DD-3Tの特徴と使い方も比較候補です。本体または外部フットスイッチでタップテンポを入力でき、ディレイタイムは最大800ms。音色の調整項目に加えて、演奏中にどう操作したいかまで考えると、必要な機能を絞れます。
購入前に確認したい電源とバイパス設定
SpaceTime V3の電源はDC9V・センターマイナスで、消費電流は60mAです。国内販売店の案内では2.1mmのバレル端子を使用し、電池には対応しません。サイズは115×70×48mm、重量は240gとされています。
電圧だけでなく、極性・端子・供給電流も確認することが大切です。手持ちのボードへ追加する前に、パワーサプライの基礎知識とあわせて、使用する出力の仕様を照合しておきましょう。9V以外の電圧を試す使い方は避けてください。
内部DIPスイッチでは、トゥルーバイパス、バッファードバイパス、キルドライを設定できます。キルドライは原音を除く設定なので、通常の直列接続では不用意に有効にせず、原音を別経路で混ぜる構成かどうかを確認します。スイッチ位置はNINEVOLTの製品説明を参照してください。
フットスイッチには、磁石の位置をセンサーで検出してリレーを動かすMagTraB方式を採用しています。操作感も購入前の試奏で確かめたい点です。なお、バイパス方式を選べることだけを理由に、オフ後のディレイ音が必ず残るとは判断しないようにしましょう。
まとめ
VAHLBRUCH SpaceTime V3は、原音をアナログで通しながら、デジタル生成した反復音の明るさと揺れを整えるディレイです。機能の数だけで選ぶより、好みの余韻をつまみで決めたい方に検討しやすい構成でしょう。
試奏では、同じ短いフレーズのままTONEを切り替え、その後でMODを少しずつ加えてみてください。原音への重なり方を比べ、必要な操作と電源条件が合うかを確認すると、自分のボードに入れる理由がはっきりします。




