RATEノブとDEPTHスイッチに操作を絞ったアナログ・コーラスで、カート・コバーンの使用でも知られています。今回は、二つの操作子の役割から、つなぎ順、ボードへ加える前の注意点までを見ていきます。
Small Cloneは、速さと深さで音を決めるコーラス
Small Cloneは、原音に、音程をわずかに変化させた信号を混ぜて厚みを作るペダルです。ディレイのように同じフレーズを繰り返すのではなく、弾いている音へ動きを加えると考えると分かりやすいですね。
メーカーは、澄んだ立体的な響きから、温かく脈打つような揺れまでを作れると説明しています。ただし、音の印象はギターやアンプ、設定によって変わります。「あの曲の音になる」と決めつけず、普段弾くフレーズに合う揺れを探したいところです。
本機はモノラル入出力、トゥルーバイパス仕様。操作はRATEとDEPTHの二つが中心で、エフェクト音の量を独立して調整するMIXノブや、音色を整えるEQノブはありません。調整箇所の少なさを、音を決めやすい利点と感じるかが選ぶポイントになります。
コーラスとフェイザーなどの違いを整理したい場合は、モジュレーション系エフェクターの種類と使いどころも参考になります。Small Cloneの基本仕様は、Electro-Harmonix公式製品ページで確認できます。
RATEとDEPTHは、一つずつ変えると分かりやすい
| 操作子 | 役割 | 聴き比べるポイント |
|---|---|---|
| RATEノブ | 揺れの速さを調整 | コードを伸ばしたときの動きと、曲のテンポとの関係 |
| DEPTHスイッチ | 音程変化の深さを切り替える | 音の厚みと、揺れそのものの目立ち方 |
| フットスイッチ | エフェクトのオン/オフ | フレーズの輪郭と、切り替えた際の音量感 |
まずはクリーンで、遅いRATEから
アンプをクリーンにし、ほかの揺れ系や残響を一度オフにします。RATEを遅い位置にして、同じコードを伸ばしながらDEPTHを切り替えてみましょう。深さを決めたあとにRATEだけを動かすと、二つの役割を追いやすくなります。
アルペジオなら、一音ずつの輪郭が残るか。コードなら、伸ばしている間の揺れが心地よいか。同じ短いフレーズを使い、オン/オフを比べるのがおすすめです。ここで紹介するのは試奏の進め方で、実機で検証した推奨設定値ではありません。
薄くしたいときも、MIXノブはない
揺れが強く感じられたら、まず浅いDEPTHと遅めのRATEを試します。それでも原音に対して効果音をもっと少なくしたい場合、本機だけでは独立したミックス量の調整ができません。速さ、深さ、混ざる量は別の要素として考えたいですね。
効果音の量や明るさまで細かく決めたい方は、BOSS CH-1 Super Chorusの4つのコントロールも比較材料になります。CH-1はRATE・DEPTHに加え、E.LEVELとEQを備えています。Small Cloneの操作の少なさが好みに合うか、調整したい項目から選んでみてください。
つなぎ順は、歪みの後ろを出発点にする
ペダルで歪みを作るなら、まず「ギター → 歪み → Small Clone → ディレイやリバーブ → アンプ」という順番から試すと整理しやすいでしょう。アンプはクリーンにしておくと、Small Cloneより前で作った歪みに対して、どんな揺れが加わるかを比較できます。
最初はSmall Cloneだけで音を決め、次に歪み、最後に残響を足します。一度に全部をオンにするより、どの段階で輪郭がぼやけたかを確かめやすくなります。残響を加えて揺れが分かりにくくなったら、コーラスを深くする前に、残響の量を下げて聴き直してみてください。
歪みの前へ移す方法もあります。この場合は、揺れを加えた信号が後段で歪むため、音作りの条件が変わります。接続順に唯一の正解を求めるより、同じ音量、同じフレーズで前後を比べるのが近道です。アンプ自体を歪ませる場合は、アンプ入力の前に置いたSmall Cloneもその歪みの前段になります。
また、Small Cloneの出力はモノラルです。左右へ分かれた信号をそのまま受け渡すステレオ機としては使えないため、ほかのペダルでステレオ化する場合は、本機をどこへ置くかも先に決めておきましょう。
購入前は、電源端子と設置スペースを確認する
現行の説明書と、手元の個体を照合する
公式取扱説明書では、9V電池、またはDC9V・25mA以上を供給できるACアダプターで動作すると案内されています。消費電流は9V時に約12mA。推奨アダプターはEHX 9.6DC-200で、外部電源はDC10Vを超えないよう指定されています。
同説明書での外部電源端子は、2.1mm・センターマイナスです。古い個体や中古品を買う場合は、現在の製品ページだけで判断せず、その個体の端子形状、極性表示、対応する説明書を販売店へ確認しましょう。名前が同じでも、見た目だけで電源をつながないことが大切です。
電圧・電流・極性の違いに迷ったら、エフェクターの電源選びの基本を参考に、使う出力端子と照合してください。仕様と注意事項は、Small Clone公式取扱説明書が基準になります。
電池で使う場合は、使用後にINPUTのケーブルを抜きます。フットスイッチで効果を切っていても、INPUTにプラグが挿さっている間は電池が消耗するためです。電池交換のしやすさも、固定する前に確認しておきたいですね。
「Small」という名前でも、本体だけで配置を決めない
メーカー掲載の外形寸法は5.25×3.38×2.75インチです。ミニペダルと同じ感覚で隙間へ置くのではなく、ジャックへプラグを挿した状態と、RATEやDEPTHへ手を伸ばす余白まで含めて配置を考えましょう。
エフェクターボードとケースの選び方も参考に、使う配置を仮置きしてから固定するのがおすすめです。運搬用ケースへ入れるなら、ふたがノブやプラグに当たらないかも確認してください。
なお、Neo CloneやNano Cloneは、名前の似た別モデルです。小型モデルを探しているのか、大きな筐体のSmall Cloneが欲しいのかを分け、購入時には商品名と写真を確認しましょう。通販で似た名前の商品を選び間違えないようにしたいところです。
まとめ
Electro-Harmonix Small Cloneは、RATEとDEPTHで揺れを決める、シンプルなアナログ・コーラスです。多機能さよりも、少ない操作で気に入った響きを探したい人に向いています。
まずはクリーンで深さと速さを別々に比べ、そのあとで歪みや残響と組み合わせる。購入前には電源端子と配置まで確認する。この順番で試せば、定番という評判だけでなく、自分の音と足元に合う一台かを判断しやすくなるはずです。




